2017年12月15日金曜日

三菱重、火力不況が直撃 主力重電「不振、2年続く」

 三菱重工業の屋台骨がきしんでいる。15日には宮永俊一社長が主力の火力発電所向けガスタービンの不振が少なくとも今後2年は続く見通しを明らかにした。営業利益の7割を稼いだ主力部門の失速は、MRJや造船の不振とは影響の大きさが違う。世界の需要が半分以下に縮む「火力不況」で、先行して大胆なリストラ策を打ち出した欧米大手に対抗できるか。

 15日、7カ月ぶりに開いた記者会見で宮永氏は「パワー(発電所向け)があれほど急激に落ちたのは想定外だった」と危機感をあらわにした。温暖化ガスの削減義務を新興国にも求めるパリ協定の成立で、太陽光や風力など再生エネルギーの普及が加速。同社が得意とする出力30万キロワット超の大型ガスタービンは市場の収縮が止まらない。

 環境急変に対応し、独シーメンスは11月に6900人の人員削減を発表。米ゼネラル・エレクトリック(GE)も12月に入って1万2千人の大規模なリストラを公表した。ただ宮永氏は「日本の企業にレイオフはなじまない」とリストラを否定する。全国5カ所にある製造拠点の再編や効率化に活路を見いだす考えという。

 だが、悠長に構えている余裕はない。2018年3月期のパワー部門の受注高は前期比2割減の1兆4500億円の見通し。当初のプラス想定を5千億円引き下げた。「GEがあり得ない価格で出してくる」(関係者)というライバルの安値攻勢にも手を焼き、採算も悪化。営業利益は当初想定の3分の2の1千億円にとどまるとみている。

 ガスタービンを手がける三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の安藤健司社長は「大胆な価格を提示して、少し無理をしてでも取りにいく」と採算度外視の受注もあると強調する。しかし、肝心の需要が出てこない。シーメンスによると大型ガスタービンの世界需要は年間110基程度。これに対して世界の生産能力は4倍近い年400基に達し、供給能力の過剰感が目立つ。

 三菱重工は巨額損失を計上した豪華客船や納入延期を繰り返すMRJなど負の連鎖が続く。だが、ガスタービンは同社の屋台骨。17年3月期には旧エネルギー・環境部門(現パワー部門)が営業利益の7割を稼いだ。客船やジェット機など「夢のある事業」(関係者)でつまずいても、後ろに控える安定感抜群のガスタービンが安心材料だった。

 14年には仏アルストムの重電部門買収で「打倒GE」を旗印にシーメンスと組み、敗れはしたものの存在感を示した三菱重工。それから、わずか3年の市場急変だ。GEでは8月に就任したジョン・フラナリー最高経営責任者が電光石火でリストラを加速している。世界は待ってくれない。

 宮永氏は来春で就任5年の節目を迎える。祖業の造船部門の分社など改革を断行した5年を「この会社に足りないのは意思決定のスピードだと感じた」と振り返った。何よりスピードが求められているのは今なのかもしれない。(市原朋大)

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