2018年4月12日木曜日

日野とVW提携、新興勢に対抗 技術競争に備え

 日野自動車と独フォルクスワーゲンは(VW)は12日、トラックなどの商用車分野で提携すると発表した。電動化や自動運転、物流など幅広い分野で協業する。商用車の先端技術では独ダイムラーに加え中国などの新興勢が台頭しており、両社は出遅れている。日野はトヨタ自動車の子会社だが、商用車の世界大手と組まなければ生き残りは難しいと判断した。

 同日、東京都内で日野の下義生社長と、VW傘下の商用車持ち株会社のアンドレアス・レンシュラー最高経営責任者(CEO)が記者会見した。

 電動化やハイブリッド、ディーゼルエンジン、自動運転などの技術を共同で開発する。物流や販売面では日野が得意とするアジアとVWが得意とする欧州などの地域を補完し合うことも検討する。両社は2017年6月以降に提携交渉を開始。今後はトップや役員で構成するアライアンス委員会を立ち上げ、協業の詳細を詰める。

 日野の下社長は「(商用車でも)100年に一度の大変革期を迎えており、同じ価値の提供では答えられない。強い危機感をVWと共有している」と強調。VWのレンシュラーCEOは「幅広い協業に発展する可能性がある」と応じた。

 両社の背中を押したのは、乗用車の世界大手を親会社に持つといえども単独では生き残れないという強い危機感だ。世界的に大都市での大気汚染が広がり、環境規制への対応を迫られている。顧客である陸運業界は運転手不足に直面し、自動運転や安全機能の充実を求めている。

 電気トラックや自動運転などの先端技術では世界最大手の独ダイムラーが先行している。傘下の三菱ふそうトラック・バスが2017年、世界で初めて小型の電気トラックの量産を開始。ダイムラーも大型の電気トラックを2020年以降に量産する目標を掲げており、グループで車種を広げる考えだ。

 台頭が著しいのが中国などの新興勢力だ。英LMCオートモーティブの調査によると、2017年の中大型トラックの世界販売台数のトップはダイムラーだったが、2、3位は中国の第一汽車など上位10社のうち5社を中国勢が占めた。

 日野はハイブリッド(HV)のトラックでは実績があるが、電気トラックの量産化には至っていない。自動運転では、いすゞ自動車などと国内でトラックの隊列走行の実証実験を2018年3月に開始したばかりだ。

 商用車は大型になるほど積載量や車体が重くなり、電動化が難しい。隊列走行も乗用車とは異なる通信・安全技術が求められる。

 日野の下社長は「商用車の先進技術は乗用車の延長線上だけでは対応できない。(VWの)技術に期待している」と、トヨタとの連携だけでは大変革期で生き残れないことを強調した。レンシュラーCEOは「日野は特に東南アジアや日本の主要プレーヤー。技術や展開する地域の面からシナジーを強く発揮できる」と述べた。

 日野とVWの提携はトヨタの商用車戦略にも影響を与える可能性がある。トヨタは2001年に日野を子会社化し出資比率は50%超。いすゞ自動車にも5.9%を出資している。トヨタは電動車や自動運転など次世代カーの開発を急いでいるが、乗用車はインフラ整備などがハードルとなり急速な普及は見込みにくい。その点、定められたルートで動く商用車は自動運転で乗用車よりも先行するという見方もある。

 商用車業界では18年2月、中国の自動車メーカー、浙江吉利控股集団が独ダイムラーの株式10%弱を約1兆円で取得し筆頭株主となったことが明らかになった。吉利は商用車のボルボにも17年12月に8.2%(議決権ベースでは15.6%)を出資している。下社長は「トヨタやいすゞとの関係は今後も影響はない」と話したが、VWとの提携を契機に新たな再編が起こる可能性もある。

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