伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町、定期検査中)の運転差し止めを命じる広島高裁の13日の司法判断を受けて、中四国の自治体首長や企業経営者らからは引き続き安全対策を求めたり、経営への影響を懸念したりする声が聞かれた。島根原子力発電所2号機(松江市)の再稼働を目指す中国電力は「他社のことなのでコメントを控える」とするが、司法リスクに神経をとがらせざるを得なくなった。
伊方原発がある愛媛県伊方町の高門清彦町長は「今回の判断と再稼働を合格にした原子力規制委員会の基準との整合性はどうなのか。原発の停止が長引くと町の経済に影響は出てくると思う」と懸念を示した。同県の中村時広知事は「県としては稼働していようがいまいが(四国電力に)徹底した安全対策を求めたい」と述べた。
山口県の村岡嗣政知事は「上関町八島が(伊方原発の)UPZ(緊急防護措置区域)圏内。引き続き住民の避難体制などに万全を期していく」とした。中国電力の島根原発2号機がある島根県の溝口善兵衛知事は「今後の動向を注視する」とコメント。広島県の湯崎英彦知事は「四国電においては引き続き地元の皆様の安全を確保して頂きたい」とコメントした。
伊方原発3号機の運転再開の見通しがつかず収支への悪影響が避けられなくなった四国電力。現時点で電力料金の値上げを否定するが、愛媛県内の金属加工会社の経営者は「電力費は価格転嫁しにくい。これ以上上昇すると大手の海外移転を促す要因になり、中小にも影響する」と心配。高知県の素材メーカー幹部は「四国は他地域に比べ新電力から調達しにくい。製造方法などで独自の電力コスト削減を続けるしかない」と話す。
■原発、島根でも係争中 2号機 再稼働へ審査進む
中国電力では島根原発2号機が再稼働に向けた安全審査を受けている最中だ。島根原発は沸騰水型軽水炉(BWR)で、加圧水型軽水炉(PWR)の伊方原発とは構造が異なる。
島根原発の安全審査に関しては今年、原発周辺の活断層、宍道(しんじ)断層の長さを従来の25キロメートルから39キロメートルに延長した。審査の山場となる基準地震動の決定に向けて原子力規制委員会と議論を重ねている。中国電は島根原発の安全対策費については「4000億円超」としている。
伊方原発3号機の運転差し止めの仮処分決定について、中国電力は「他社のことなのでコメントは差し控える」とした。ただ、島根原発についても中国電に対して運転差し止めを求める訴訟が起こされ係争中だ。
中国電は島根原発2号機だけでなく、ほぼ完成している同3号機の稼働を目指し、上関原発(山口県上関町)の新設計画も継続する。今回の高裁判断で原発を維持する際の司法リスクが改めて顕在化し、今後、経済合理性についても論議を呼びそうだ。
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