東京大学は1日、分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授らが執筆し、国際科学誌に掲載された論文5本に、画像の捏造(ねつぞう)など研究不正があったとする調査結果をまとめ、発表した。
発表によると、不正をしたと認定されたのは、生殖細胞の減数分裂の研究で知られる渡辺教授と、研究室の丹野悠司元助教。東大科学研究行動規範委員会は、渡辺教授らが執筆した英科学誌ネイチャーなどに掲載された5本の論文で、グラフや画像の捏造が6カ所、改ざんが10カ所あったとし、論文の撤回や修正を勧告する。
2010年に米科学誌サイエンスに掲載された論文では、実験をしていないのにグラフを作成したとし、規範委は捏造と認定。また、15年のサイエンスの論文でも、顕微鏡画像を異なる条件で処理して明らかな差があるように見せていたとし、捏造と認定した。
東大は今後、渡辺教授の過去の論文もさかのぼって調べ、処分を検討する。東大によると、渡辺教授の研究室には国などから14億8千万円の研究費が投じられており、東大は文部科学省などと返還について協議するという。
渡辺教授は朝日新聞の取材に対し「論文に不適切な画像操作を含む図表が掲載されたことについて調査結果を真摯(しんし)に受け止め、深く反省している。だが、(不正とされた図表は)実験から得られたもので、結論を覆そうとする意図で手を加えたわけではない。論文の結論に変わりはなく、国際的な基準では不正にはあたらない」と話した。
渡辺教授は生殖細胞ができると…
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