2018年11月21日水曜日

日産社長から任意聴取 虚偽記載で法人立件検討

日産の西川広人社長=横浜市西区で2018年11月19日、宮間俊樹撮影

 日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)らが金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された事件で、東京地検特捜部が西川広人(さいかわ・ひろと)社長と志賀俊之取締役(前最高執行責任者)から任意で事情聴取したことが、関係者への取材で明らかになった。ゴーン会長らの逮捕容疑の「虚偽記載額」は約50億円と巨額で、特捜部は法人としての日産の刑事責任も免れないとして立件する方向で検討している。

 ゴーン会長と代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)は共謀し、2011年3月期~15年3月期の5年間、各連結会計年度のゴーン会長の報酬総額が計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と少なく記載した虚偽の内容の有価証券報告書を関東財務局に提出した疑いで逮捕された。ケリー代表取締役はゴーン会長の「腹心」とされ、執行役員らに虚偽記載などを具体的に指示したとみられる。

 「虚偽記載額」は平均で年約10億円。ある検察幹部は、年間1億円以上を得る役員は有価証券報告書に氏名と報酬額を記載する義務があるとして「記載義務がある額(1億円)に比べてもゴーン氏の不正額は極めて大きい」と語る。

「ゴーン会長の不正に対する認識の有無」確認か

 金商法は、虚偽記載の法定刑について10年以下の懲役か1000万円以下の罰金と規定。企業に属する個人が業務で違法行為をした場合、法人も罰せられる「両罰規定」を設けており、7億円以下の罰金が科される。

 有価証券報告書の虚偽記載は従来、会社の赤字を隠すために架空の利益を計上する粉飾決算事件として立件されるケースが多かった。今回のように役員報酬の過少申告に適用されるのは極めて異例だ。特捜部は任意聴取で、西川氏や志賀氏から、経緯やゴーン会長の不正に対する認識の有無などを確認したとみられる。一方、東京地裁は21日、ゴーン会長とケリー代表取締役について30日まで10日間の勾留を決定した。逮捕後、2人の身柄は東京拘置所にあるが、拘置所は受刑者が入る刑務所と異なり、刑が確定していない容疑者や被告が収容される。【巽賢司、遠山和宏、金寿英】

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