2018年11月1日木曜日

スズキ エブリイ など5車種26万5000台をリコール AGS不具合で走行不能となるおそれ

スズキは11月1日、『エブリイ』など5車種26万5479台について、機械式自動変速機(AGS・オートギアシフト)に不具合があるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出た。

対象となるのは、スズキ『エブリイ』『キャリイ』、日産『NV100クリッパー』、マツダ『スクラム』、三菱『ミニキャブ』の5車種で、2014年8月18日~2018年8月3日に製造された26万5479台。

AGSの不具合部位は、トランスミッションフロントケース/クラッチレリーズベアリング、アンチローテーションピン、セレクトピストン、クラッチケーブルアンカ、ワイヤハーネス、セレクタアッシコネクタの6点。

AGSのトランスミッションフロントケースの形状が不適切であるとともに、クラッチレリーズベアリングの被水条件下での耐久性が不足しているものがある。そのため、フロントケース内に水が浸入すると、ベアリング内部のグリスが被水して潤滑性が低下。クラッチ操作が繰り返し行われると、最悪の場合、ベアリングが破損して変速不能および走行不能となるおそれがある。なお、不具合は584件発生している。

これに対し、改善措置として全車両、クラッチレリーズベアリング、クラッチレリーズフォーク、クラッチレリーズベアリングクリップを対策品に、クラッチカバー、クラッチディスクを新品に交換する。またAGSを点検し、フロントケース上部に防水カバーが取り付けられていない場合は、防水カバーを取り付ける。これらの対策によりクラッチレリーズベアリングの耐久性が向上することから、クラッチカバーがレリーズベアリングより早期に交換時期に達することとなるため、トランスミッション制御コントローラを対策プログラムに書換え、または、AGSアクチュエータを対策品に交換し、クラッチカバーの交換時期を知らせる警告機能を追加する。

アンチローテーションピンはAGSのギヤ位置を検知するための部品。耐久性が不足しているものがあるため、変速が繰り返し行われると、アンチローテーションピンが破損して、警告灯が点灯するとともに、変速不能および走行不能となるおそれがある。

改善措置として、全車両、AGSアクチュエータを対策品に交換する。

セレクトピストンは、AGSの変速を行なうための部品。その構造が不適切なため、耐久性が不足しているものがある。そのため、変速が繰り返し行われると、セレクトピストンが破損して、警告灯が点灯するとともに、変速不能および走行不能となるおそれがある。不具合は117件発生している。

改善措置として、全車両、セレクトピストンを対策品に交換する。

AGSのクラッチケーブルアンカの組付指示が不適切なため、アンカとレリーズフォークのスリットが一致し、クラッチケーブルのクランプ部に応力が集中するものがある。そのため、変速が繰り返し行われると、クラッチケーブルが破断して、警告灯が点灯するとともに、変速不能および走行不能となるおそれがある。不具合は163件発生している。

改善措置として、全車両、クラッチケーブルアンカを点検し、クラッチケーブルアンカとレリーズフォークのスリット方向が一致している場合は、AGSアクチュエータを新品に交換、クラッチケーブルアンカを対策品に交換する。また一致していない場合は、クラッチケーブルアンカを対策品に交換する。

4WD車のAGSを制御するコントローラに接続するワイヤハーネスの配索設計が不適切なため、ワイヤハーネスがトランスファケースのリブと接触するものがある。そのため、走行振動等により、ワイヤハーネスが損傷し、最悪の場合、変速不能および走行不能となり、またはエンジンの始動ができなくなるおそれがある。不具合は5件発生している。

改善措置として、全車両、ワイヤハーネスの損傷状況を点検し、損傷が認められない場合は、ワイヤハーネスにプロテクタを追加して正しく配索する。損傷が認められた場合は、ワイヤハーネスを対策品に交換する。

AGSのセレクタアッシコネクタの配置が不適切なため、結露した水滴がコネクタに落ち、端子間がショートすることがある。そのため、警告灯が点灯するとともに、変速不能および走行不能となるおそれがある。不具合は78件発生している。

改善措置として、全車両、セレクタアッシのコネクタを点検し、被水痕が認められる場合は、セレクタアッシとインパネハーネスを対策品に交換。被水痕が認められない場合は、セレクタアッシのコネクタに防水カバーを追加し、インパネハーネスに防水対策を実施する。またメインハーネスのコネクタに、防水カバーが装着されていない場合は、メインハーネスのコネクタに防水カバーを追加する。

なおこれらの不具合に起因する事故は起きていない。アンチローテーションピンは取引先からの情報により、それ以外は市場からの情報により不具合を発見した。

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