中央省庁が雇用する障害者の数を長年にわたって水増ししていた問題で、国土交通、総務両省は十七日、事実関係を大筋で認めた。十近い主要省庁で水増しが常態化していたとみられる。厚生労働省は国や民間企業に対し、毎年六月一日時点の障害者雇用の状況について報告を求めている。複数の省庁から今年四月以降、障害者数の算定方法などに関する問い合わせがあり、厚労省が六月下旬に本格的な調査を始めたことも判明。障害者手帳を持たない軽度の職員を算入していた手法など全省庁の実態把握を急ぐ。
国交、総務両省の担当者は共同通信の取材に「障害者手帳を持っていない人も計算に入れていた可能性がある」と述べた。
民間企業に積極的な障害者雇用を求めている国が法定雇用率を下回っていた可能性が高いだけに、批判の声が強まりそうだ。厚労省は昨年度の障害者雇用の実態について全省庁を調査し、早急に公表する考えだ。
共同通信の取材に厚労、環境、経済産業などの各省は「事実関係を調査中」とした。農林水産省幹部は、本来は対象外の職員を障害者として計算していた可能性があることを明らかにしたが、意図的な数字の操作ではないとの見方を示した。警察庁は水増しは確認されなかったとした。
障害者雇用促進法は差別を禁止し、障害者の就労機会を広げるため企業や国・自治体などに一定割合以上の障害者を雇うよう義務付けている。原則として身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つ人、児童相談所などで知的障害者と判定された人が対象となる。
目標となる法定雇用率は今年四月から、旗振り役の行政機関が2・5%、企業は2・2%に引き上げられた。
達成できない企業からは納付金を徴収し、消極的な企業名は公開されることもある。
昨年六月一日時点で、国の三十三行政機関では合計約六千九百人の障害者を雇用し、平均雇用率は2・49%を達成したとしてきた。ただ障害の程度が軽い対象外の職員を除くと実際の雇用率は1%未満になる省庁が多いとみられる。
(東京新聞)
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